新刊書

中国はなぜ成長し、どこに向かうのか?

中国の成長要因を12のポイントで解説。
中国の成長要因と日本の衰退要因は不思議なほどに符合する。

書籍名『中国はなぜ成長し、どこに向かうのか、そして日本は?』

発行年月日 2019年12月

出版社名 ㈱クロスメディア・パブリッシング

【書籍より抜粋】
第二次安倍政権ではマスコミへの政治介入が強くなった。2013年には「日本よ、咲き誇れ」の共同執筆者の右翼作家がNHKの経営委員に選ばれている。また安倍政権批判報道に圧力をかける団体「放送法遵守を求める視聴者の会」も設立された。メディア対策は、公共放送のNHKで顕著に見える。夜のニュースでは政権批判の言葉がキャスターの口から出なくなった。安倍首相のメディア対策が巧妙なのは、直接の政治圧力を使わずにメディアが忖度しなければならない風土を作ったことだろう。幼稚園への国有財産払い下げなど、一連の疑惑での財務省役人の忖度と同じことがメディア内で起きるように仕向けた。安倍首相は日本会議や右翼メディア、出版社、知識人と深く繋がり、彼らに守られている。南京虐殺や慰安婦強制連行をメディアが取り上げると彼らの執拗な攻撃にも晒される。強い政権批判の報道も同じ構図である。メディアの外堀を固め、直接の圧力がなくても波風を立てないという風土に仕向け、見ざる、言わざる、の空気をつくった。戦前と同じ空気がメディア内に漂う。今日本では、社会を右傾化に導く活動が進められている。皆が右へ倣え、でどんどん右を向いて走っている。右翼政治家や知識人、彼らに共鳴する人の共通点は「思考の単調さ」である。論理的に物事を考える能力に欠け、単調な思考回路の先に繋がれているのは「キライ」「コラ」「クソ」の末梢神経である。だが思考が単調なだけに発言は短く明快だ。それが深く物事を考えない“今が楽しければ”の人々に受ける。安倍首相が掲げるスローガンがそれを象徴している。中身がなくてもキャッチフレーズに共感して「いいネ!」になる。25%の右翼、右傾化した有権者と“いいじゃないの、今が良けりゃ”と思う人をガッチリ守っていれば政権は安泰である。だから反中本を出し、右傾宗教団体との密着を図り、中国脅威を煽り、お金を市中に溢れさせておけば、政権を維持できる。中国と日本の政治や社会風土、中国人と日本人の気質などを比較して、日本が没落に向かう原因を次の六点とした。

1)「政治の軽さ」と「まじめさ喪失」

2)「アジアの矜持」を持てない日本

3)借金漬けの日本

4)戦略の欠如

5)内に籠る社会風土

6)成長市場への関わりの遅れ

一番大きな問題は、日本の政治が軽いということと思う。「瓜田に履をいれず、李下に冠をたださず」という言葉がある。安倍首相に問われているのは、無償譲渡問題や特別許可問題の前に指導者の姿勢、まじめさであると思う。

安倍首相は学校での道徳教育、愛国心教育に力を入れている。

日本の小学校、中学校では「道徳」が正式教科になる。自ら「まじめさ」を破壊しながら道徳教育を進めている。国有財産無償譲渡問題など一連の問題の政府対応は「逃げる」「言い訳をする」「居直る」「居座る」「責任を転嫁する」で、道徳教育の反面教師を演じながら学校での道徳教育を進める。何よりも生きた教材で学習するのがいいと考えているのか。そこに日本の「政治の軽さ」がある。老子は「道の道とすべきは常の道にあらず」と語り「大道廃れて仁義あり」を説いた。今の多くの日本の政治家は学校での道徳教育の前に、まず自らの徳を修めるべきである。日本の政治は大道を見失い、その反動で仁義、道  徳によりその場をとりつくろうことに向かわせている。

2017年の選挙後の安倍内閣の閣僚の半分が2世、3世の世襲議員である。歌舞伎や茶道と同じ世襲世界が日本の政治に存在する。

中国の政治家は地方経験を積み実績が問われるが、日本の政治家の多くは社会経験に乏しい。地盤を引き継ぎ、支援者に守られて政界に入り苦労を知らない。

社会は多様である。社会に揉まれ経験を積んでこそ、物事の本質を見極める思考能力も育つ。社会経験が乏しければ、政治の判断力に影響する。

盲目的米国追随は、トランプ大統領の馬鹿げた政治の進展で日本のリスクに跳ね返り、日本の衰退につながる。安倍首相を擁護し憲法改正を目指す右翼、右翼知識人が大切にするのは日本の「国体」である。「国体」の基礎にあるのは民族の自覚と誇りであろう。それは日本民族としての自覚と同時にアジア民族としての自覚、誇りである。すなわちアジアの国の矜持である。米国への盲目的迎合は民族の誇り、「国体」を捨てることと同義であると思うが。戦略的になれない日本は目先の安直さにすがる。経済は金融に頼り、カジノを誘致し一時を凌ぐ。

アベノミクスで三本の矢が言われ続けた。三本目の矢とは何か、目に見える何かがあるのか。それとも紙の吹き矢だったのか。それで日本の何が変わったのか。成長率はG20やアジアの国々と比べても最低の低空飛行のままである。

企業でも創業社長は言葉よりも実践の経営を進める。だが2世、3世になるほど四文字熟語や体のいい言葉、スローガンにすがるようになる。身体を張った実践経験が乏しければ、それを見透かされないために言葉に頼る。安倍首相にもその傾向が強い。

今も「地方創生」「一億総活躍」「人づくり革命」「積極的平和主義」の巧言政治が続いている。さらに今の政権はやたらと戦略本部をつくる。企業経営でも戦略の持つ言葉の語感で何かが動くと錯覚するのか、倒産寸前にやたらと戦略本部ができる傾向がある。四文字熟語に頼らず何ができたかを自らに問いかけるべきだ。日本が中身のある戦略にも欠け、実践にも欠けるなら前進するはずはない。

地方の疲弊も高齢化社会も、沖縄基地も、女性の活躍も、拉致も、北方領土も、失われた時代の継続も、年金も何十年と日本の課題で掲げられてきたことである。だが何も動いていない。

日韓対立の根底には歴史問題がある。日本は中国にも韓国にも侵略の真のけじめをつけていない。真のけじめは真摯な謝罪で、政治決着は真のけじめではない。政治決着を言いながら、政治家や知識人、一部のメディアが歴史修正の言動を繰り返していては決着もぶち壊しになる。そんな政治家や知識人、メディアは韓国がいつまでも歴史問題を繰り返すと考えるだろうが、日本のけじめが問題である。

真のけじめをつけずに赤いフェラーリで煽るように韓国に対応するから問題はさらに拗れる。ひと昔前の自民党の政治家であれば決してそんな対応はしなかっただろう。社会で揉まれた経験に乏しい二世、三世議員の問題がそこにもある。

彼らは社会経験が乏しい。「小異」を捨て、物事を大きく捉えて本質を見る経験、能力に欠ける。そんな政治の幼さが内政だけでなく外交にも現れている。それが日本の衰退につながる。

和中清 新刊

書籍名 『奇跡 発展背后的 中国経験』
発行年月日  2019年9月
出版社名   東方出版社

過去の執筆・出版書籍

書籍名発行年月日出版社名
中国市場の読み方2001年12月明日香出版
中国マーケットに日本を売り込め2004年2月明日香出版
中国が日本を救う2009年8月長崎出版
中国の成長と衰退の裏側2013年6月総合科学出版
仕組まれた中国との対立2015年8月㈱クロスメディア
・パブリッシング
奇跡 発展背后的 中国経験2019年9月東方出版社
中国はなぜ成長し、どこに向かうのか、そして日本は?2019年12月㈱クロスメディア
・パブリッシング
「仕組まれた中国との対立」より抜粋
安保関連法案閣議決定の記者会見で安倍首相は「中国の台頭で流れが変わった。自衛隊の活動を広げ、米軍の関与を維持しないと日本は生きていけない」と述べた。
「南沙の埋立て」で「尖閣の脅威」を想起させ、尖閣を失くせば次は沖縄となり「だから(集団的自衛権は)必要でしょ。脅威に備えなくてもいいのですか」という論理に導かれ、安保法制改革は進んだ。「安全保障を取り巻く環境が変わった」と言うが、何も変わっていない。中国に対立を仕掛け、変わったように見せかけた。「脅威に備えるため」という言葉を国民に語るために対立は仕掛けられた。中国との対立を仕掛ける「三つの対立因子」がある。その一つの右派メデイアや反中知識人が「対立を望む政治家」の支援勢力となり、書店の店頭に反中、嫌中本が溢れた。「格差」「バブル崩壊」「覇権主義」「影の銀行」「失業」「中国リスク」のデマ情報も溢れた。内閣府の調査では中国を心よく思わない人が83%である。対立因子の仕掛けとデマ情報の結果である。その「総仕上げ」で登場したのが安倍首相の「中国の脅威に備えなくてもいいのですか」という言葉である。対立因子には三つある。一つは中国を対立軸に置きたい政治家、二つはそれに協力する親派としての偏向右派のメデイア、団体、知識人である。三つは米国保守、米軍である。民主党潰し、普天間移転、沖縄基地維持、米軍負担軽減、安保法制改革、憲法改正。この共通テーマが「国民の不安」である。そのため領土問題が煽られた。「尖閣を譲歩すれば沖縄も盗られる」と煽り右傾化が進み、「民主党ではダメよ」という方向に世論は導かれた。日中戦争の日本軍の罪は虐殺、略奪、強姦、阿片だけではない。日本軍は国民党政府の紙幣の偽札まで偽造し中国経済を混乱に陥れようとした。偽札は旧陸軍謀略研究機関の登戸研究所で約45億元が印刷され、約30億元が使用されたと見られる。
「品格ある国家」とは、国が辿った道の誤りを認め、謝罪と反省ができる国民が構成する国家である。その本筋を外れ、見かけだけの美しい国になっても、そこになんの価値があるのか。

南京大虐殺記念館には日本の侵略の展示とともに、日中国交正常化や日中平和友好条約、民間外交、経済文化交流、OⅮA(政府開発援助)も紹介され、「中日両国には二千年あまりの友好往来の歴史がある」と書かれている。対立因子が反日教育と批判する中国の中学校社会教科書(上海)の南京事件の記述は1頁のみである。しかも歴史事実としての記述で、反日をうかがわせるものは無い。

反中・嫌中本の特徴を整理すれば、「何でも成長のひずみ、格差に結びつける」「何でも権力闘争に結びつける」「間もなく中国は崩壊すると言い続ける」「部分の問題を“いたるところで”にすり替える」「気がする、の言葉で語る」「中国経済への無知が顕著」「間違いやごまかしも強引に正当化する」「昔の中国を引き合いに今の問題を語る」「根拠のない数字で、想像で語る」「思い込みが強く、決めつける」「メチャクチャな論理飛躍」「低俗な揶揄が多い」である。

「従業員の顔が見えていない」進出企業の問題がある。中国では派遣会社に依頼して、従業員を採用することもよく行われる。企業は派遣会社と契約し、従業員との労働契約は結ばない。採用や契約解除は機械的に進む。そこで見えるのは従業員の顔でなく契約書である。労務管理も他人任せになる。従業員が喧嘩しても派遣会社が対応し、楽でいいと語る日本企業もあるが、楽なだけ労務管理のノウハウも得られない。

チベットの民族問題を語るには、特権階級としての貴族と僧侶、遊牧民、農奴、奴隷、アウトカーストからなるチベット封建社会の構造、生活習慣、意識、さらにイギリスによるインド植民地化とチベットへの関与、インドの工作、国民党政府の反乱分子支援、さらに米中央情報局による反乱分子の育成と支援など、複雑な歴史を理解した上で語らねばならない。

米中央情報局のチベット介入は1955年にはじまり、反乱分子への小銃、機関銃、55ミリ追撃砲、手りゅう弾の空中投下、反乱分子の軍事訓練をサイパンやヘイル基地で実施し、インド情報局の特殊国境部隊を指導下に置いてチベット工作が進んだ。工作活動には弾圧、虐殺の捏造とその宣伝物の配布もあった。現在もチベット情報操作は続いている。

日本の南沙報道は一方的である。英国軍事情報組織IHSや米国戦略国際問題研究所CSISが流す衛星画像の中国の環礁埋立て、滑走路建設の写真が紹介されるだけである。CSISはアジアの海洋紛争を米国の立場で広報する組織である。CSISは2005年訪米中の民主党前原代表が講演で「集団的自衛権行使のための憲法改正と自衛隊の活動、能力の拡大、日米同盟の強化」を語った研究所である。その画像が中国脅威の説得に使われる。

日本で隠されているのは、南沙で関係国がどんな主張をし、島をどこの国が支配しているかである。中国のみが領土を拡張しているとの印象を持つように仕向けられている。

アジア通貨危機は東アジア各国を地域協力、関税撤廃、投資自由化と経済統合、共同体構想に向かわせた。金融システムの安定化、通貨管理の協力が進み、通貨スワップ強化のチェンマイ・イニシアテイブに合意した。
米国とドル依存の経済秩序から脱却をめざす「アジア通貨基金」や「アジア債券市場」構想も浮上し、「アジア共通通貨圏」への期待も大きくなった。だが、中国とアセアンの緊密化は、米国の東アジアでの政治、経済、安全保障の主導的地位を脅かす。米国は危機をつのらせ、中国とアセアンの協力を潰す方向に動く。

南沙諸島での中国以外の国の軍用滑走路が報道されず、中国の埋立て写真が公開され、中国脅威が拡がるのが南沙問題の構図である。

中国の格差を問題とする人は、成長が止まった社会と成長途上の社会の格差、しかもヨーイドンで市場経済に走り出した国の格差の区別ができていない。

ベンツやBMWに乗る人も20年前は自転車だった。成熟社会が中国を見る目は13億という数字を忘れている。巨大で実感がわかないのだ。格差は13億人の国が市場経済を受け入れた宿命でもある。中国の全てが13億という膨大な数の圧力との戦いである。13億人が同時に豊かになる社会は、どんな体制、理論でも不可能だ。

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